時効の制度とは

時効
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法務通信―新時代― Vol.7

6月10日は時の記念日。聴いたことはあるが、いつか?は曖昧な人が多いと思います。私達の生活は時間で始まり時間で終わります。法律の世界でも時間は重要な要素となっています。時間の経過は記憶を曖昧にし、犯罪の証拠なども失われたりします。民法には時間の経過により財産を得喪する時効の規定があります。今回はそのお話です。

時効の制度とは

 「権利の上に眠るものは保護に値せず」という言葉があります。これは、権利があるのにその権利を行使しない場合に、ある一定の時期が来たら、ほったらかしにした権利者の権利をはく奪する制度です。たとえば、Bが、Aの土地の一部を長期間継続して駐車場として使用していた場合、Aは、「オレの土地だ、車を停めるな!」と自己の所有権を主張しなかった場合、一定期間が経過するとBが所有権を取得するという制度です。

 あるいは、BがAから借金をしたが、もう10年以上も経つのになんの請求もされずにいたところ、Aから突然請求が来た。この場合、Bは、その債権は「時効で消滅している」から返す必要がないというものです。この規定は、民法総則の中の162条・167条にあります。

 刑事事件でも罪を犯して一定期間逃げ切るなど、法律の規定する期間が経過すると起訴されなくなるのも時効です。時の経過によって当時の証拠が曖昧になり、記憶も薄れたりするなど、現在の権利状況を尊重したほうが社会経済的に利益になるというのが主な理由です。

 ただ、この制度は、使うか使わないか、援用は当事者の自由で、たとえ時効が完成しても「オレは借金は必ず返す男だ!」と潔く倫理的に支払うことも自由なのです。

時効

即時取得(占有信頼者の保護)

 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する」。これは、民法192条に規定されている条文です。時効とやや似ていますが、目的物は動産に限られること、取引行為によって物権を取得することが大きな相違点です。たとえば、Aさんが、友人のBさんを誘って有名人のライブに出かけました。やがて、ライブは最高潮に達し、Aさんは汗を拭くため金のネックレスが邪魔になったので、隣のBさんの鞄に預けた。そのまま時間が経過し、二人ともそのことをすっかり忘れていた。

 さて、「金のネックレス」を預かったBさん、アパートに帰って鞄を開けたところ高価なネックレスが入っている。そうだ、あの時、熱気でのぼせたAから預かったのだ!と思い出した。Bさんは、コロナ禍でパートの収入も減った親からの仕送りも途絶えがちで生活は苦しかった。そこでBは、金持ちボンボンのAには、どこかで失くしたことにして…と再販店に持ち込んだ。何も知らない再販店は、この金のネックレスをBの所有物と信じ、かつ、そう信じることに過失がなかったので適正に所有権を即時取得したことになります。 

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