カムフラージュマーケット

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法務通信―新時代― Vol.18

カムフラージュマーケット

 5月も下旬、そろそろ日本列島は梅雨時になりますが、最近は大雨や土砂災害が心配ですね。昔の雨はシトシトピッチャンで優しかったが、今は荒々しく怖い感じの雨が多いです。地球温暖化で気候変動が起こり世界のどこかで大洪水や大干ばつなどが頻発するようになりました。

 人間は生活のため、ものやサービスの生産活動をやめるわけにもいかずCO₂を出し続けるでしょう。解決には再生可能エネルギーの利用拡大や各国が協力して温室効果ガスの排出削減に取り組むことが重要ですね。ただ、人間が生きるための生産活動は絶え間なく続きますから地球規模では人口も商品も増え続けるわけです。生産活動による商品はサービスを含めてほとんどは売買されますが、商品となるものは売れないと困るわけですから、売るためには実際よりはよく見せたり、詐欺まがいの誇大広告も出てきます。

 最近は何やら「詐欺」のニュースが多いですね。オレオレ詐欺、投資詐欺、ロマンス詐欺など、とにかく基本は相手を騙して商品を売ったり金銭をまきあげる行為ですが、今はSNSでのフィッシング詐欺やネット詐欺、なりすまし詐欺などと多様化し手口も巧妙になって来ました。昔は、産地偽装や悪徳商法などが目立っていましたが特定商取引法の施行によって、訪問販売や電話での勧誘、通信販売などが規制され、消費者の保護が図られるようになりました。 また、クーリングオフ制度を導入し、消費者が一定期間内に無条件で契約を解除できる権利も保障され消費者の地位も大きく向上しました。

 日本は戦前戦後のかなり長い期間にわたって物資の不足に悩まされました。今はあらゆる商品が巷にあふれ、ネットで不要になったものを売買するフリーマーケットなども増えています。たとえば、フリーマーケットにAさんが長い間着古した高価な洋服を出品したとき、記念にとっておいた購入時の写真があったので新品同様と見せかけてその写真をネットに載せたところ、思いがけず高く売れました。

 さて、これは正当な商行為といえるでしょうか。実際はかなり着古した洋服を新品同様に見せかけ人を欺く行為は詐欺罪(刑法246条1項)に該当する可能性があります。またBさんがマッチングの結婚アプリで登録用の写真に5年前の若い時の写真を載せました。これも若く見せかけようと実物ではない虚偽の写真を載せたとすれば相手方を欺いたことになりませんか。いずれにしても、あらゆるものが売買される現代、技術革新やIT化で発展した消費社会は商品があふれ、今は安くてよいものがあふれています。消費者は余りにも種類が多すぎどれを買うべきか判断に迷う時代になりました。昭和期のブランド品や高価なメーカー品のステータス消費から現代の過剰商品の選択は面倒だからなんでもよいと親ガチャで運にまかせるルーレット消費の時代かもしれません。今は、消費者の目も肥えて粗悪なものはすぐ見破られます。しかし、SNSの情報や犯罪目的で商品サービスがカムフラージュされると見破ることが困難な時代ですね。

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