法務通信―新時代― Vol.19
先読みはリスク回避になる
みなさんこんにちは。行政書士の佐藤勝太郎です。いよいよ東北、東日本も今週から梅雨に入ったようです。天気予報も今までほとんど太陽マークで日照りの状態が続いていましたから県南の方では雨乞いをしたところもあったようです。今年の東北地方の梅雨入りは昨年より6日位遅れました。この遅れの原因としては、梅雨前線の北上が遅れたことが挙げられます。 例年、太平洋高気圧とオホーツク海高気圧の勢力バランスが梅雨前線の位置を左右しますが、今年は特にオホーツク海高気圧の影響が強く、前線の北上が遅れたため、梅雨入りが遅れたということです。天気予報の正確度は予報機関や技術の進歩により昔よりは格段に精度が上がりました。特に、短期予報(1~3日)については非常に正確で、 現代の気象モデルと観測技術は、80~90%の精度が達成されているそうですが、週単位の予報は70~80%の精度で、それ以上の長期になるとさらに精度は低下し不確実性が増して来るそうです。
ところで「一寸先は闇」と云う諺があります。これは、暗い闇の夜は一寸先もわからないのでほんのちょっと先のことさえ予測ができないということです。それぞれ人生も同じように、明日のわが身は分からないわけですが、「備えあれば憂いなし」とは、日ごろから危難に備えて周到な準備をしていれば、万一の事態が起こったときでも、慌てたり心配したりしなくてもすむということですね。昔の天気予報はハズレが多かったようですが、今のように科学技術が発達していなかったので、太陽の周りに薄い雲がリング状に見える“日傘”が現れると翌日は雨となるとか、きれいな夕焼けの時、明日は晴れるという自然現象から先を予想していました。今の天気予報は自然現象ではなく衛星での観測やレーダーなど科学技術を駆使して行われていますね。

さて、みなさんは雨が降るかどうか気がかりな時に、天気予報の降水確率をみて傘を持って出るかどうかを決めていると思います。ただ、朝方は降っていたが午後には晴れたりすると傘をどこかに忘れてしまうことがありますよね。また、店の入り口の笠立てに置いた自分の傘がなかった。誰かが持って行ったようなので代わりに同じような傘を持って帰りました。もしこれが居酒屋などで誰かが自分の靴を間違えて履いて行ったような場合には簡単に誰かの靴を履いて帰るということにはならないですよね。
つまり、安いビニール傘なら“まあ いいか”と安易に考え他人が置いた傘を持ち帰った場合は窃盗罪(刑法235条)に該当し10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。結構重い罪ですね。スーパーやコンビニの窃盗・万引きも「他人の財物を故意に持ち去ること」ですから同じ犯罪類型ですが、もし、故意ではなく自分の傘と勘違いして持ち去った場合は、犯罪の故意がないので窃盗罪は成立しません。雨が降りそうだからと「先読み」したら犯罪を犯していたということにならないような先読みをしましょう。