法務通信―新時代― Vol.26
自然と人間のリズム 巡る乱れの中で
みなさんこんにちは。行政書士の佐藤勝太郎です。2025年新しい年も始まり、1か月が過ぎようとしています。今年は2025年問題といって、団塊の世代、75歳以上の後期高齢者が2,000万人を超え、医療や介護など様々な分野に大きな影響を与え始める年になるといっています。私も80歳、後期高齢者なので、最近のインフルエンザなど、いろいろな感染症には特に気を付け、入院などしないように医療費の節約に貢献しています。
今年の盛岡は、例年に比べて雪も少なく暖かい日が続いています。雪かきもまだ2回しかしていません。逆に青森が大変だったようですね。地球温暖化の影響は各地で異変を起こしていますが、地震や大雨などいつどこで起こるか正確に予測できないので、南海トラフ地震など、今後何年以内に何%の確率で起こるとしか言いようがないでしょうね。とにかく、防災の備えをこれ以上できないと言うほど万全にするしかありません。
日本は災害が多い国ですが、四季や温泉など観光資源に恵まれた美しい国です。春夏秋冬が巡り続けて循環し、冬になると三寒四温といって、三日寒い日が続くと四日は暖かい日が続き、やがて春が来るという循環、一定のリズムで四季が繰り返されるというリズムがあります。
最近は、春や秋の季節の変化がいつあったのか、分かりにくくなっています。すなわち、自然界のリズムが乱れ始めているのではないかと思います。人間にも一定のリズムがありますね。朝に起き、昼は活動し、夜になると眠るという普遍的なリズムです。昔、日本が円高の時期には海外旅行が増えました。旅行の目的地が遠いほど行ったり来たりで昼と夜が乱れて、いわゆる時差ボケが起こります。これは、人間の生活リズムが乱されるので身体に悪影響を与えます。規則的な生活が健康には大切なことが良く分かる例です。事程左様に私たちの生活はことさら意識しなくても一定のリズムをもって生活しているのです。
新しい年が始まるたびに、初詣をし、今年こそはと真新しいカレンダーをめくる。しかし、この新鮮で希望に満ち溢れる高揚感は、やがていつもと変わらない心理的リズムに戻りませんか。月曜から週末まで人それぞれのリズムがあって活動しているわけですが、週の途中で想定外のことが起こったりすると、精神的・身体的にリズムが乱れ大変な影響を受けかねません。
自然界のリズムは崩れることはあっても春夏秋冬が規則的に循環しています。人間も不規則な食生活や環境の変化など、生活リズムが大きく乱されると健康や社会生活に支障を来たすようになります。
リズムには、高低・強弱・吉兆など様々なものがありますが、自然界のリズムだけではなく人間社会や集団の活動もリズム感・鼓動を伴って生きています。たとえば、好況と不況、人生の挫折と成功、ファッションのトレンドなどがありますね。永遠に上昇や下降の一本調子ではなく、社会は常に一進一退を繰り返し進歩しているということです。よく「波に乗る」と言われますが、商売にしても、経営にしてもその時代の波にさからわずに、リズムをしっかり掴んで成長することが大切ですね。

さて、来年はどうなるでしょうね。みなさんはどう思いますか。少なくとも物価はあがるでしょうね。私たちが生きる今の時代は、多くの課題を抱えています。物価上昇、介護や医療の問題、治安の悪化、自然災害や国際紛争など、不安材料が数多くあります。私は日本の高度成長期を生きて来たので物価と給料は上がるのが当たり前でありました。定期昇給やボウーナスはうなぎのぼりでした。
当時の日本はそれ行けドンドンの時代で経済に勢いがあった時代でした。昭和30年代の日本は戦後の復興を成し遂げ、実質経済成長率10%を超える驚異的な成長を遂げ世界の奇蹟ともいわれました。その経済の高度成長が約30年も続き、賃金も同時に上昇しました。その結果、国民の懐は豊かで「カー」「クーラー」「カラーテレビ」など、いわゆる“3種の神器”が目覚ましい勢いで買われ、国民の消費能力が増大し、企業はさらなる設備投資に追われる「大衆消費社会」だったのです。年末になると企業は名入りの手ぬぐいやカレンダーを配り、来年もよろしくと営業サービスを展開したのであります。大晦日になると多くの家々が「紅白歌合戦」を見て過ごし、いつの間にか除夜の鐘が鳴りあっという間に新年を迎えるというサイクルでありました。年の瀬というあわただしさの中にも、どこかみんなが同じように行動する安心感というか、社会の絆というか古き良き時代の名残がありますね。
さて、わが国の現状を見るに、コロナ禍から経済は回復しつつあるようですが、いまだに物価上昇が家計を圧迫し、不況感は消えてはいないようです。特に中小企業や低所得層にとって厳しい状況が続いています。賃金上昇の取り組みは見られるものの、それが物価上昇を完全に相殺することは難しく、結果的に格差が拡大する懸念は大きいですね。国は物価対策として、年金スライド分の上乗せや公務員・教員等の給与改善による賃上げを目指した大型予算を組みました。
ただ、将来の年金がどうなるか、仕事のデジタル化による雇用不安などはどうも経済だけの問題ではないようです。減税による所得の増加分や生活支援金が必ず消費に回るでしょうか。先行きのことが心配で少しでも将来に備えたいと、その分は貯蓄に回るのも少なくないと思います。根本の原因は少子高齢化で人口構造に問題がありますね。これが多子少老化だったら介護や医療・年金の不安はなかったかも知れません。人生は、いつの時代でも心配や不安はつきものですね。現代は不寛容でストレス社会と言われますが、新しい年が心配や不安を払拭し希望に満ちた明るい年であることを期待します。