法務通信―新時代― Vol.27
アレルギーと文明の共生
みなさんこんにちは。行政書士の佐藤勝太郎です。今月に入ってから立て続けに大寒波がやってきて寒暖差が激しくなったような気がします。特に、日本海側は例年にない大雪に見舞われているようです。大雨にしてもそうですが、急に降って、しかも量が多すぎるということが問題ですね。雨雪が降る場合、日照りの時には恵みの雨、春の雪解け水は田畑を潤しますから必ずしも害とばかりは言えませんが、恵みと災害はバランスの問題でしょうね。
また、杉の花粉症などに悩んでいる人が増え始めているようです。子どもの頃、家の近くに杉の木が数本あり、秋に落葉して乾燥した杉の葉は薪ストーブの補助燃料になり、冬は寒風除けにもなって大いに役に立つ木でした。杉は裸子植物のヒノキ科に属し、日本の固有種で大きなものは高さ60mにもなり古くから神社仏閣に植えられ神木化していますね。ただ、最近は花粉症の原因になるといわれ伐採されているのも少なからずあるようです。
花粉症のアレルゲンとして多いのはスギ花粉ということですが、アレルギーという言葉が日本で知られるようになったのは戦後で,喘息がアレルギー性の病気として認知されてからです。アレルギーとはギリシャ語のアロス(異なる)とエルゴン(作用)を合成した言葉で、変化に反応する力(免疫力)という意味があります。
つまり、生体になんらかの新しい異物が侵入してくるとそれに対して拒否反応を起こし様々な炎症も引き起こすので、ひどいときには予防注射のワクチンでもアナフィラキシーショックを起こし死亡することもあります。

ワクチンも花粉も生体にとっては“異物”です。その異物に対して生体が過敏に反応するので、それに慣れさせて耐性を作り、生体の恒常性を保とうというものが予防接種ですね。
最近は、花粉症だけでなくウイルスや細菌がより進化し文明の発達とかかわりがあるような気がします。感染症が昔はさほど大きな社会現象として見られていなかったのは人々が強い免疫力を持っていたということでしょうか。現代は、学校給食などもしっかりとアレルギー対策をしていますが、成熟した文明社会にあって人間は精神的にも異物に対して過剰な反応を示すことがあります。例えば、ある集団や組織に過剰なアレルギー反応という形で関わり拒否や不登校が起こることがあります。なにも本人が悪いわけではありませんが、精神的に無自覚な学校嫌いや病院嫌いとなって現れます。人間にはどうしても論理では説明できない非合理的・生理的部分がアレルギー反応となって現れるのでしょう。
今、日本は、少子高齢化で人出不足の課題に直面していますが、グローバルな世界ではダイバーシティ(多様性)が求められています。いろいろな国家・民族が強調し差別なく一緒に生活できる社会を目指そうというものです。今後、人出不足対策として、機械化や自動化は進展すると思いますが、人がいなくなっては本末転倒なので、人出不足に対応するには“移民”の受け入れが大きなポイントだと思います。これがなかなか進まないのはアレルギー的拒否反応なのか、目には見えない非合理的な国境があるようですね。