勤労に感謝

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法務通信―新時代― Vol.12

勤労に感謝

 先週の木曜日は「勤労感謝の日」でしたが、みなさんはどんな思いで過ごされたでしょうか?そもそも、この勤労感謝の日は、日本では古くから続いてきた穀物の収穫を祝い神々に感謝するという儀式を、昭和23年に、国会で「勤労をたっとび生産を祝い、国民がたがいに感謝しあう」という趣旨で祝日に制定されました。今回は、勤労=働くということを考えてみましょう。


 働くといっても色々な働き方がありますね。もちろん、だれでも何らかの仕事を通じて働いているわけですが、近年は、過酷な労働や時間がかかるような仕事も、機械やロボットであっという間に済ませることができるようになりました。したがって、苦労して手に入れる「生産物」も分業が高度に専門化・細分化したせいか、自分が何をどのように生産しているかわからなくなって来ている時代ではないでしょうか。

 しかしながら、働くということは、必ず「対価」が対象的に出てきますが、対価なしに働くとしても「義理」「恩返し」とかの動機が必要でしょう。ほとんどの人は対価を求めているはずです。ただし、その対価は、自分で決められる人はごく少数で、一般的には需要と供給の市場原理によって決定されます。希少価値の高い労働は裁量性が高く、汎用性の高い労働は時間的な制約が多いということでしょうか。現代は時間も「商品」ですので、それが多いほど対価が増加するわけですが、健康や福祉の観点から労基法等の法律によって一定の制限がかけられています。しかし、本来の商品は完成品なので、その販売権はエージェントにゆだねられているわけですから、どうしても「情報の非対称性」が起こります。つまり、「時間」という商品は完成品に吸収され、本人の利益の実現は不透明化しますね。

 昨今、働く人を困らせているパワハラ・カスハラ・セクハラ・モラハラ等々、ハラハラすることばかりが多くなってきました。これらは働く人にとって由々しき問題ですが、特にパワハラは職場で上司や先輩としての優越的な地位を利用して必要以上に叱責すると、落ち込んで鬱になった部下が損害賠償を請求する事例が増えているようです。ちなみに、会社の宴会で若手社員に余興を強いた行為が損害賠償となった判例があります。  

 また、最近特に問題となっているカスハラですが、これも働く人にとっては耐え難い時間で、ある意味、社員に対する上から目線の「威圧的嫌がらせ」ですから、当の本人は社員の「精神的苦痛」を無自覚に、気のすむまで執拗に言動を繰り返すことになります。しかし、こんなカスハラを受けても自分を責めないでください。打つ手はあります。まずは、相手が激高して大声を出し続けたら「威力業務妨害罪」、無理やり土下座や謝罪を要求したら「強要罪」の可能性があります。冷静に対応して下さい。今は、お客様は神様扱いされますが、いずれは仏様ですから大切にしましょう。現代は気候変動や人口減少、格差拡大など生きづらくストレスフルですが、お互い不法行為でストレスを発散することなく、今働けることに感謝し、未来に明るい希望をもって「勤労」しましょう。

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