受験とカンニング

カンニング
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法務通信―新時代― Vol.14

カンニング

 新しい年2024年1月も残り少なくなってきました。今が厳寒期だというのにここ盛岡の道路は、時折降る雪もすぐに溶けてほとんど雪がなく車で走るのはラクですね。

 この間、私はみぞれまじりの雪が降っている道路を走っていました。走っている車はノロノロ運転までいかなくてもスピードを落としているわけですから、いつもよりは遅かったと思います。信号待ちも車の数に比例してどんどん長くなるわけですから、朝の出勤時間など会社や学校などへ急ぐ人はイライラするだろうなと思いました。また、順調に走れるだろうと思っていた道路が交通事故などで渋滞していることがあります。年に一回の試験に行くような場合は将来の人生がかかっていますからその人の心境は察するに余りありますね。

 試験と言えば受験シーズンに入りましたが、私もいろいろな試験にチャレンジしてきました。高校・大学の入学試験から教員試験や資格試験など10回以上は受けています。どんな試験でもだいたい学習する内容は決まっていますから、それに合わせて専門化したテキストや参考書があるわけです。受かるためにはその内容をしっかり勉強し覚えればいいわけですね。

しかし、人は今日学校で教わったことを100%コンピューターのように記憶できません。1週間もすればそのことの70%は忘れてしまうという忘却率があります。個人差はありますが、勉強や仕事は何回も繰り返して覚える必要があります。この繰り返しが努力になりますが、残念ながらこの努力を怠る人が少なからずいるのです。試験には受かりたいけど努力はしたくない人、あるいはバイトで忙しく疲れて勉強ができない環境にいる人などさまざまですね。 

カンニング

 さて、何らかの理由で努力できなかった。しかし、入学試験や就職試験に合格したいとの思いが強く焦りがあったりするとついカンニングをしてしまうということがあります。入学試験や資格試験はその学習や業務を行う上での最低限の知識があるか、適格性があるかを測るわけですから、不公正があっては受験者の評価が実力や努力に基づかず試験の公平性と信頼性が失われ実力を正確に測ることができなくなります。

 私も教員時代に試験の監督をやりましたが、何回かカンニングを見つけたこともあります。カンニングは、試験官の目を盗み欺いて行われるわけですが、最近では、スマホを使っての写真やメールでのカンニングがありました。これは、「偽計業務妨害罪」として3年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法233条)に問われる可能性があります。つまり、他人の正当な業務(試験)を意図的に妨害したといえるからです。ただ、私も困ったカンニングに出会ったことがあります。それは、監督が机間巡視して遠ざかった時に小声で教えあうというものでした。教えませんでしたとなれば証拠が見えず立証が難しいからです。真剣な努力や誠実な受験の態度がこうした不正手段によって妨げられることは本来の学習の目的や試験の意義を見失いかねませんね。

 

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