人の一生にかかわる民法

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法務通信―新時代― Vol.1

年末になると、なんとなく気ぜわしくなってきますね。私は、今月で専門学校の講義を終えて一段落したところです。昔は、高校の教員をしていました。今は、行政書士業ですので、この機会に法律的なものを中心にブログを始めることにしました。みなさんの生活と権利を守るサポートをさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

はじめに

 みなさんは、法律というものにどういうイメージ持っているでしょうか?「堅苦しいので関わりたくない」「守らないと警察沙汰になる」などいろいろだと思います。たくさんの法律の中で「民法」という法律について。たとえば、スーパーでモノを買う行為は、契約書がないだけで立派な法律行為なのです。日本の法律は、意思主義を採用していますから、売買において、「これを下さい」という買いの申し込みに対して「OKです」という承諾があれば、たとえ口約束であっても、立派な契約が成立しているのです。そして、車で走る行為を規制するのが「道交法」ですが、事故を起こせば損害賠償に係る「民法」が適用されるのです。しかし、私たちは、何らかの問題が生じない限り、法律を意識することはありません。

 すなわち、私たちは生活や仕事において、非常にたくさんの法律に囲まれて生活していますが、これらを大別すると、「憲法」や「刑法」などの「公法」と、「民法」や「会社法」などの「私法」とに分かれます。市民社会の基本法である民法は、総則、物権、債権、親族、相続と五編に分類されていますが、実は、どれもが私たちの日常生活に関わるものばかりです。それゆえ、市民のさまざまな活動に対処できるように、多様性と柔軟性をもって作られています。そこで、知らないと大損をしたり、人生がめちゃくちゃにならないように、日常において役に立ちそうな、市民社会の法である、「民法」のお話を中心にいくつか述べたいと思います。

人の一生にかかわる民法

イギリスに、「ゆりかごから墓場まで」という表現がありますが、これは「国民は社会福祉の点でその一生を保護される」という意味です。民法という法律は、ゆりかご前の「胎児」から、結婚、離婚、死後の財産の処分まで、つまり、相続・遺言の世界まで守備範囲にしています。

  民法886条1項に「胎児は、相続については既に生まれたものとみなす」という規定があります。本当は生まれていません。でも、そうせざるをえないのです。たとえば、交通事故で、ある日、突然父親が亡くなりました。しかし、民法900条の法定相続人の規定では、生まれていないと相続権がないので、公平の見地から、民法はその後に生まれてきた赤ちゃんには、すでに生まれていた子と同じように相続権を認めました。

  このように、まだ、生まれていない子供を「生れたことにする」などというのは、私たちの常識では考えられないことも規律するのです。つまり、法律は、自然科学と違って人々の社会生活における権利と利益を守るためにあるのです。

続きはまた次回!

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