普通保証と連帯保証

保証人
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法務通信―新時代― Vol.3

3月は就転職の時期、親戚や友人から保証を頼まれて困っている人、安易に保証を引き受け後悔している人など、今回は保証で悩む場合の留意点をお話ししたいと思います。

ある日突然、人生がめちゃくちゃに

 みなさんは、人生で一番大事なものはなんですか?と聞かれたら、お金、健康、愛、友人…と、人それぞれだと思います。これらがすべてそろえばいいですが、長い人生の中でどれかが欠けることがあります。前近代的な時代でしたら、強い者が力づくですべてを手に入れることもありました。現代社会では、一定の約束事に従い、すなわち、民法等のさまざまなルールによって、市民の幸福や安心・安全な社会の実現を目指しています。

 私は、前に民法は人の一生に関わる法律だといいましたが、正にそのとおりで、人は生きて行くうえで大事なモノの得喪場面に出会います。入学、就職試験、結婚、契約の締結などとさまざまな転機が訪れます。人によって、それが幸せの階段に繋がったり、悲劇の谷底へ落ちることになるかもしれません。たとえば、金銭消費貸借契約、あなたが保証人という立場になったとき、民法という法律がどのようにかかわっているのでしょうか。

普通保証と連帯保証

 たとえば、Aさんが脱サラして、ペンションを経営したいと銀行から融資を受け奥様が保証人になりました。あるいは、親友が事業資金としてまとまったお金を借りたいというので、“君に絶対迷惑はかけないから保証人になってくれないか”と頼まれました。なかなか断ることができない関係の場合は保証人を引受けることになります。さてみなさん、保証人は誰と保証契約をしますか?法律的には頼んできた借主ではなく、融資先(債権者)の銀行との間で保証契約を結ぶことになります。次の図をみて下さい。

 Aは債権者・貸主の銀行、保証人を頼まれたCはその銀行と保証契約しますので、たとえば、「普通保証」の場合は、Bが払えないときだけ代わって払えばいいですが(民法446条)、連帯保証の場合は、Bに返済能力はあっても債権者は取りやすい方から取れるという規定です(民法454条)。したがって、借りたのはBだ‼、Bの財産を差し押さえろ‼とは言えず、請求されたら全額を払わざるを得ません。

 ほとんどの貸し手は、債権の実現に法的効果が高い連帯保証を求めて来ます。したがって、うっかりと、あるいはやむを得ず保証人になった場合、最初は、普通保証に、連帯保証なら、保証人を多く立てさせるなど人生が破綻することのないようにしましょう。

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